今年最後の分解掃除 [お仕事]
12月29日今年最後の、腕時計の分解掃除を行いました。近用の視力が低下してきたので、ひょっとしたらこれが最後の分解掃除かも……。男性用はまだ部品が大きいので良いのですが、女性用ではさらにこれの4分の1の小ささです。
立体顕微鏡も準備していますが、心配です。
この時計は、ケースがサビて防水が効かなくなり、内部が錆びて、サビの粉が歯車に引っかかり、遅れたり止まったりも不具合が出ていました。
メッキケースにサビが出ると、ケースが深く浸食され、パッキンが汗や水の侵入を抑えきれず、サビが発生してしまいました。
文字盤の周りにサビが発生しています。
この時計の文字盤は、和時計のデザインを取り入れ中の太陽が24時間で一周する、個性的なデザインです。
幸い、機械の部品はあまり錆びていないようです。これぐらいであれば、機械全体の交換は必要なく、部品のサビを落とすだけで修理できそうです。
一つの部品が錆びていましたが、精密な部品ではないので、真鍮ブラシでゴシゴシすればサビが取れました。
歯車もサビの影響はありませんでした。
部品を全部バラバラに分解して、ベンジンで手洗いをしました。
文字盤側の歯車も、全部はずして洗浄し、注油して、順を追って組み立てなおしました。
高級時計ではないので、針と針の隙間がかなり大きく。ガラスに当たるのではないかと、心配しましたが、そちらのクリアランスも大きく取ってあったので、微調整なく、正常に時刻を刻み始めました。
現在では、2万円以内のクォーツ時計では、時刻調整の仕組みが、設計からありません。組み立てれば月差20秒以内には、時刻が合うようにできています。
時計職人としては、「つまらん!」の一言です。
仕事なので修理はしますが、プラスチックの部品が多く、修正や手直しが出来ません。
一生物では無いのです。機械(ムーブメント)が長く使用できないのであれば、機械ごと交換できるように設計や、修理システムを作っていれば、お客様が一生でも、2世代、3世代と使えるのですが、使い捨時計メーカーに、なり下がってしまいました。
10年もすれば、メーカーに部品を注文しても、生産中止として、供給を断られる始末です。
2020-12-31 21:25
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コメント(2)
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
健康第一、これが元旦の決意です。
by 常盤万作 (2021-01-01 07:02)
常盤万作様、「健康長寿!」ですね。
by 因島のトラ (2021-01-01 10:36)